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病床削減案が続々 半数以上が年内策定
―地域医療構想―

全国保険医新聞2016年3月15日号より)

 

 都道府県で進められる地域医療構想(構想)の策定の中で、病床削減案が次々に示されている。構想策定の状況と地域での懸念、課題を解説する。
 構想は、2018年4月開始の第7次医療計画への反映が求められる。策定期限は18年3月末だが、厚労省は「2016年度半ば頃まで」の策定が望ましいとしている。
 15年度中の策定予定が岩手、千葉、愛知、大阪、岡山、愛媛、佐賀など15府県、16年前半頃までが山梨、兵庫、山口など5都県、10月頃(16年度半ば頃)が21道府県となっている。16年度中の予定が6県となる。
 13都道府県で、昨年10月時点で見込んでいた策定予定時期よりもずれ込んでおり、都道府県での策定・調整事情の一端も垣間見える。

構想区域は概ね2次医療圏

 構想区域の設定(予定含む)では、2次医療圏が36都道府県、一部合併・統合・変更が5県、検討中が6県となっている(15年10月時点)。「構想策定ガイドライン」で、「現行の2次医療圏を原則」と指示していることもあるが、医療計画(2次医療圏)の「基準病床数」と構想区域の「必要病床数」との整合性、保健所の区割り、国より提供された「支援ツール等」の基本設定や市町村等の組換えに伴う関係者間の調整などもあり、概ね2次医療圏を追認する形となっているようだ。

調査会の削減 試算をなぞる

 昨年6月に、安倍首相直轄の専門調査会がガイドライン等に基づき試算した「2025年の必要病床数の推計結果」では、現在の135万床(一般・療養病床)を2025年までに15〜20万床削減して、115〜119万床程度にすべきと提言している。一部の大都市圏を除き、41道府県で病床を削減、富山、高知、熊本など8県では軒並み3割以上の削減を求めている。
 各地で病床削減が確定であるかのような報道が相次ぎ、厚労省は急遽、推計値は「一定の仮定をおいて機械的に…計算した参考値としての位置づけ」と都道府県に説明した。その後、二川厚生労働事務次官はメディアの取材に「ちゃんと(推計結果の資料を)読んでもらうと、驚くような推計結果ではない」と答えている(MediFax15年10月26日付)。
 実際に、15年度内の策定を予定する青森、岩手、栃木、千葉、静岡、滋賀、大阪、岡山、広島、愛媛、佐賀など各地で示された構想(案)では、専門調査会が示した推計結果を概ねなぞる形となっている。2025年に向けて病床再編・削減が打ち出されている。

自治体で療養病床実態調査も

 専門調査会が3割以上の病床削減を求めた8県では、3県が今年10月頃、富山、高知、熊本では16年度中の策定予定となっており、行政担当者の葛藤・模索なども聞かれる。
 4割近い慢性期病床の削減を求められた高知県では、県と医師会の連名で、療養病床を有する医療機関の療養病床に入院する全患者を対象に「療養病床の実態調査」を実施した。(続く)

以上